「EX-AR7」はビクターの原音探求の理念が生んだウッドコーンオーディオシステム
ビクターはなぜ「木」にこだわるのかを知りたくて、「EX-AR7」体験イベントに参加してめえりやした
開発者の熱い思いと盛りだくさんの内容のため、2回に分けての紹介になるっす
根底にあるのは「原音探究」という考え方
ビクターの理念ってご存知っすか? ずばり「原音探究」!
1974年に発表した往年の名機2wayブックシェルフ型スピーカー「SX-3」から36年が経過しましたが、この「原音探求」こそが、脈々と受け継がれている音造りの根底にあるものなのです
それが可能なのも、ビクターは『原音』を扱うスタジオ部門と再現性を『探求』するメーカー部門を併せ持つ企業だからなんス
音の造り手から、その音を楽しむユーザーへの橋渡しまでをカバーできるというわけですな
深い、深いぞぉぉ ビクター!!
なぜ「木」にこだわるのか
そんなビクターさんが「木」にこだわるには理由がある!
音響装置の中で音を再現する上で一番の要といえば『振動板』 つまりスピーカー部っすな
通常は、紙やポリプロビレンなどを用いることが多いんだけれど、音響特性の点でいくと図のように「木」が一番適しているのであります
中でもカバの木!
「EX-AR7」のコーンには、このカバが使われています
「木」は、伝播速度と内部損失のバランスの良さだけじゃなく
加工物とは異なり『木目』という自然素材の持ち味が「共振」を低減する
優れたコーン素材なのだ!
実際に開発を手がけた技術主幹技師の今村氏に、アルミやポリブロビレンなどを木槌でたたいて音の広がりを聞かせていただいたんですが、木にかなうものはありませんでした
今回視聴したウッドコーンスピーカー「EX-AR7」は、その名のとおり振動板部が木で作られたスピーカーというわけ
でも実はコーンだけじゃなく、ボイスコイルや響棒、キャビネットまでも木を用いていて・・・ まるでバイオリンやピアノのように「楽器」とも呼べるスピーカーっす
ウッドコーンを採用した製品が少ないのはなぜ?
じゃぁ コーン部は「木」で作ればいいって思うよね?
でも多くのスピーカーのコーンは「紙」や「ポリプロビレン」なわけ なぜか・・・
一番の要因は「木」は加工が非常に困難だからであります!
ウッドコーンが生まれるまで
ウッドコーンの成形工程は以下の図のような感じ
このどれもが大変なのではありますが・・・
特に大きな壁となったのは、コーン型に成形する高温プレス時の圧力と熱
コーンになる前のカバの板を触らせてもらいましたが、触った感触はとても加工に適してるとはいえないもの
これをどうやって割らずに円錐状のコーンにするんだろうと心配するほどっす
その難問を解決したのは、なんと『スルメとお酒』
一瞬なんじゃそらぁぁぁぁ? と頭の中がハテナマークで埋まったのはここだけの話
何でも、今村さんが飲みに行ったときに出てきたスルメが解決の糸口になったんですって
出てきたスルメが柔らかかったんだと!
不思議に思い、その秘密を聞くと"スルメを日本酒に一晩浸した"という答えが
それを聞いて、さっそくカバの木を日本酒に浸してみたそうな
すると確かに「加工しても割れない!」
日本酒に含まれるグリセリンやブドウ糖が保湿効果を高め、高温のプレス機にかけても木が乾燥せず、割れなくなるとのこと
なるほど、お酒って人だけでなく木まで酔わせて柔らかくするのか(笑)
でも、今度は高温・高湿による変形の壁が・・・ なんせ「木は生きもの」っすから
これについては、何かを塗ってコーティングすればいいのではないかというところまでは考え付いたものの、その「何か」を探すのに苦労することに
塗布することで木の音色を失っては意味がないもんね
様々なトライの後、木材専用の熱硬化性樹脂で解決したそうっす
まさに原音に近い音を再現するための探求の旅! 開発者って凄いなあと感じ入った次第
根性なしの自分には絶対できないことだ
この後、「EX-AR7」でさらに進化したウッドコーンへの工夫
そして、ウッドボイスコイルやウッドトップベース、竹響板など、まだまだ隠された「技」をご紹介したいのですが、今回はここまで
スピーカーユニットにすら行き着けなかった・・・ すみません
実際に視聴しての感想も(2)にて書きたいと思いヤス
オマケとして 当日体験会で見せていただいた構成部品やサンプルの写真を貼っておきます
ウッドコーンスピーカー「EX-AR7」の主な仕様
スピーカー形式 | フルレンジバスレフ型 |
スピーカーユニット | 11㎝ウッドコーン |
振動板 | 異方性振動板(表面) ウッドコーン(樺材) |
ボイスコイル | 平角無酸素銅線の4層巻き樺材シートを 加工したウッドボビン |
アルミショートリング | ○ |
銅キャップ | ○ |
スピーカーマグネット | ネオジウム |
クロスオーバー周波数 | ━ |
スピーカーキャビネット素材 | 天然無垢チェリー材 |
スピーカーキャビネット内部 | 竹響板&チェリー響棒 |
内部吸音材 | メイプル材チップ |
スピーカー部入力端子 | 金メッキ仕上げ |
アンプ部トップ 固定ワッシャー (前方/後方) | ウッドトッププレート&アルミプレート 銅ワッシャー/真鍮ワッシャー |
シャーシボトムの振動対策 | 12mm厚 MDF製アークベース |
インシュレーター | 真鍮削り出し 3点支持インシュレーター |
ディスクトレイ | 裏面にハニカムリブ構造 スウェード調塗装、高剛性素材使用 |
スピーカーケーブル | 14番線 |
アンプ部スピーカー端子 | 金メッキ仕上げ |
USB端子 | 録再可能 |
ウッドコーンオーディオシステム ビクター
http://www.jvc-victor.co.jp/audio_w/woodcone/index.html
ウッドコーンオーディオシステムイベント情報|ビクター
http://www.jvc-victor.co.jp/audio_w/home/ex-a150/woodcone_event.html
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